今思えば、私たちはあの時気づくべきだった。知らず知らずのうちに私たちはブラック企業に飼いならされようとしているということに。
私達がブラック企業で受講した夢を叶える為の研修とは、ブラック企業が社畜を飼いならす為のひとつの手段に過ぎない。その内容は単純にいうと、私たちの夢を顕在化させ、ブラック会社の方向性にあわせることだった。
まずは会社の考え方を私たちに刷り込まれた。会社はどういう考えを持っているのか、会社は社員の為にあり、社員の夢を叶える為にあり、会社は誰のものでもなく、社員の夢を叶える為の箱船であり、会社で働くことは社員の夢を叶える為の手段に過ぎない・・・と刷り込む。
その上で、夢を語らせる。一体どうなりたいのか、どのような暮らしがしたいのか、会社で働くことでどんな夢を叶えたいのかを顕在化させ、文書として落とし込ませる。そしてそれらは絶対に否定しない。全てを受け入れる。どんな間抜けな回答をしたとしても絶対に否定することなくその夢は叶うと、会社の為に頑張ればその夢は必ず叶うと信じ込ませる。
冷静になって考えれば、いくら会社で働こうとそこで語られた夢を叶えることなど到底不可能などと言うのに、社長の話をきく限りでは、ブラック企業の為に働けば、自分の夢は叶うと信じ込ませるほどの説得力があった。
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