おそらく今回、はじめて記す事になるだろう白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)。かなり以前の段階でその存在は伝えたかと思うが、詳細について書き記すのは初めてだと思う。
なぜ、今まで書く事をしなかったのか、いやできなかったのかと言えば、私がブラック企業を退職するきっかけをつくったのはこの白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)の存在による。そしてこの白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)のことを伝えるには非常に難解で、どのように書いたら伝わるのかわからなかったからだ。それほど書くことで伝える事が難しいクラッシャー上司でもあるからだ。
私と白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)との出逢いはもともと、私が転職し暫くした時のことにさかのぼる。
当時私と、私の同期入社であるKは私たちが転職した会社がブラック企業かも知れないと、感じてはいたもののお互いにそれを伝える事もせず二人とも仕事に取り組んでいた。なぜお互いにそれを伝える事をしなかったのかと言えば、それは単純にまだ日が浅く、それほど深く話す事の出来る中でなかったこと、またまだお互いを信用する事が出来ていなかったこと、それに最大の理由はそれを認めたくないと言う思いもあったのだと思う。
だから二人とも懸命に、その思いをかき消すかのように、私たちが転職したブラック企業の良いところを無心になって必至に探していたように思う。
私はKより年下であったが、自分が転職に失敗しただなんて思いたくもないという変なプライドもあった。私が転職に失敗する訳はない、私は運が良い、なぜならこんな素晴らしい企業に入社する事が出来たのだからと必死に自分に言い聞かせていたように思う。
臭いものにフタをするとはよく言ったものだが、まさしくそれで私は必死に臭いものにフタをし、いいにおいだけを嗅ごうとしていた。それはKも同じだと思う。お互いに転職した会社のいい点を必死にみつけようとしていた。
だから社畜社員である諏訪をはじめ、社畜社員が懸命に働く姿を極力疑問を持つ事をせず、素直に、「みな会社のためにこんなに頑張っているんだ、私たちも頑張らねば」と心の片隅で思っていた。
私たちより先に入社した上司も一部を除いて、とてもいい人のように思え「これからここにいる仲間と会社を発展させていくぞ。とてもやりがいのある仕事に私は就いた。しかもこの不景気に会社の業績はうなぎ上り、その秘密は個々で働く社員にあるに違いない。そんな社員と共に働く事が出来るなんて、なんて幸せなんだ」と自分自身を納得させていた。
人間不思議なもので、必死にそう思いこもうとすると、ある程度の事までなら自分で自分を洗脳する事が出来るようになる。多少の事は水に流す事が出来るようになる。しかしそれも、ある程度の段階までで、その境界線を越えると、今まで疑問に感じていた事や、不満点などが一気に堤防を超え瓦解する。おそらく理性という感情で、必死に抑えているものが爆発するのだと思う。そうなってしまうと一気に形成は逆転。今度は不満ばかりがうつるようになる。そして一旦そのレベルまで達すると、感情を抑える事が出来ず後戻りができなくなってしまう。
どんなに必死にごまかしていても、やはり無理なのだ。感情に逆らう事は出来ない。
とにかく私と白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)は入社してしばらくして訪れた、ある会社のイベントの準備中に対峙する事になる。それまでも白髪のクラッシャー上司スネーク(へび)の存在は把握していたのだが、それがどんな人物で、どのような役割を担い、どのような立場の人であり、どんな役職についているのか・・・全ては謎に包まれていた。
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