何度も話しているが、私はブラック企業の営業部に転職した。私が転職したブラック企業の営業部員は午後になると外回りに出かける事になるのだが、その出で立ちは異様で、片手には常に携帯電話という体勢で外を歩きまわっていた。
なぜ、常に片手に携帯電話を持っているのかといえば、クライアントや社内、または関係者から頻繁に連絡が入るからだ。電話をしていない時間がほとんどないほどそれは終わる事なくかかってくる。
だからいちいちポケットやカバンにしまうのが面倒くさいし、ポケットやバッグに携帯電話を入れていると、バイブレーションが伝わらず電話に気がつかない事が多い。
だからポケットやバッグにしまう事などしない。それに、手に持っている事により、振動が手に伝わるしすぐに電話に出る事も出来る。だから電車に乗る時も、得意先に向かう途中でも常に片手には携帯電話が握られている。
そして電話がかかってきたらカバンから即座にメモ帳を取り出し、携帯電話の通話ボタンをオンにする。そのまま電話を肩に挟み、いつでもメモがとれる姿勢で電話を受ける。
電話が長引きそうな場合、ショルダーバッグを肩にかけ、さらに片方の肩に電話を挟み手帳などメモをすることのできる紙を左手、そしてペンを右手に持ち歩きながら通話する。多少のコツがいるが慣れてしまえば問題ない。
そこまでしないと、処理する事が出来ない仕事量がブラック企業では普通に存在し、「そこまでしてなぜ電話をとらなければならないのか。後でかけなおせば良いじゃないか」・・・という質問は愚問で、一本電話をとらない事により仕事がどんどん溜まっていく事のほうが恐ろしい。それなので何よりもまずは電話に出る事が優先される。
もちろん多方面から電話を受けるので、クライアントが話した事がごちゃ混ぜになり、どんな内容を話したのか忘れてしまう事も多々あった。いずれにせよ、正直な話をするならば、年がら年中電話に振り回されていたという印象が強い。
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