一時間後私たちがこれからお世話になるブラック企業の人事担当者が再び会議室にあらわれた。
「書き終わったかな?じゃあ、もらおうか」
私たちは、書きかけの原稿用紙を担当者に差し出した。人事担当者は、ちらりと原稿用紙を一瞥すると裏返しにしてふせた。
「で・・・何か質問は?」
私とKはお互いの顔をちらりとみた。おそらく二人とも同じことを思っていたのだと思う・・・その質問自体がまるでわかりませんと。
「そうか、質問がないのか・・・」
人事担当者は大きくため息を付き、腕を組み徐(おもむろ)に目を閉じた。さらに眉間にはシワがより、口をぎゅっと真一文字に結ぶ。そのまましばらく時間が流れた。それが何を意味しているのか・・・一体これから何が起きようとしているのか、入社し1時間しか経過していない私たちには何が何だかもうわからない。
一体何をみているのか、これは何かの試験なのか、ブラック企業の人事担当者の意図がいまいちよめない。まさかこのまま帰れと早速ドヤされるのだろうか、それとも、何か理不尽なまでに激を飛ばされるのだろうか・・・ブラック企業の人事担当者の眉間によるシワがこれから起こるであろうその全てを物語っていた。
「あの、滞留在庫について質問があるのですがよろしいでしょうか?」
いても立ってもいられなくなり、おそるおそるKは口を開いた。するとブラック企業の人事担当者は目をカッと開き、そういう質問を待っていたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべた。
その後Kは矢継ぎ早に質問をする。Kが質問をしたことによりブラック企業の人事担当者はある程度満足したらしく、満面の笑みを浮かべ続けた。
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