さて、ブラック企業談も今回で第五回目。今回もブラック企業に勤めた経験談から、Wikipedia内に記載されているブラック企業の項目から、本当のところはどうなのか、その実態に迫っていこうと思う。
”従業員は非熟練者でもそれなりに務まる労働に従事させられるため、従業員教育のシステムは乏しく、社外でも通用する実用性の高い専門技能や資格を身に付けるシステムもほとんどなく、技術系であっても熟練労働者や専門家と呼ばれるには不相応な低水準のスキルしか身に付かない。”
非熟練者でもそれなりに勤まる労働に従事させられるとあるが、これは一概には言えないと思う。そもそも非熟練者でも勤まる仕事ならばアルバイトを雇えば済む。実際に私が就職したブラック企業は、誰もができる仕事なのではなく、その逆でむしろ誰でもできる仕事ではない。それなりに高度な仕事を要求された。だからこそ、問題なのは次の事項で熟練者でも勤まらない仕事なのに、そもそも従業員教育のシステムが乏しい点にある。
教育システムがないうえに、それぞれがそれぞれの判断で動く。マニュアルなどが存在しないし、そもそもマニュアルなどを作ろうともしない。会社にノウハウも蓄積されず、それにもかかわらず、人が一人休むと会社がまわらなくなる。
また社外でも通用する実用性の高い専門知識や資格を身につける機会もほとんどない。業務上必要な必須の資格でさえも会社がお金を出してくれる訳ではなく、全て自己負担と言う始末。ブラック企業でいくら頑張っても汎用性のない低水準のスキル、そして鍛えられるのは精神論、根性くらいだろう。私はそれを身をもって経験した。
”その様な状況下で従業員は組織の下層でキャリアアップの機会も得られないまま長時間の激務や過大なノルマを強いられるだけになる。”
これもまぎれもなく事実。この他にいうことはない。
”そのため、国家資格などの客観的な能力の証明よりも、転職回数の少なさと業務や熟練労働にまつわる職務履歴とその期間の長さが絶対視される日本社会・日本企業においては、ブラック企業とは就職・転職活動において大きな禁忌とされる「経歴を荒ませる」「履歴書を汚す」だけの存在であり、特に内情に通じる同一業界での転職活動ではブラック企業に勤務したという事実自体が採用選考で大きなマイナス要素として作用するなど、労働者にとってはその後の再就職活動においても総じて不利な状況に追い込まれる要因でしかない。”
ブラック企業に就職することの最大の問題点はここ。そもそも日本社会においては取り返しのつかない事態に巻き込まれる可能性がとても高いということ。転職回数が多いだけでどんなに能力が高かろうが全てがマイナスに働く。そもそも門前払いで話さえきいてくれないことも多いだろう。
ブラック企業で働き経歴を汚すと、さらにブラック企業でしか雇ってもらえず、そのまま負のループ活動をしいられる。だからこそ、一旦ブラック企業に脚を踏み入れたが最後、一般の路線に戻るのにはそれなりの努力がしいられてしまうのだ。
そして最後に
”また、激務や過重なストレスが主因となり健康や精神を害し後遺症が残るなど、労働者にとっては退職したとしてもその後の生涯にわたって影を落とすような問題も発生してくる。”
という事実も見過ごしてはならないだろう。そもそも将来ある若い人材が使い捨てにされること自体がおかしいのだ。
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