【ブラック企業体験談】入社4日目、転職先のブラック企業で、私は定住することのできない社内遊牧民となった。

営業部所属一日目からKの引き継ぎが始まった。Kの様子を見る限りではこれからすぐに社用車に乗り引き継ぎの為に外出するようだ。

 

私は、借り物のデスクで何も出来ずに座っていた。今日から私の直属の上司になった諏訪からは何の指示も出ず、私は置物のように何も出来ずにいた。

 

パソコンと電話さえあれば何かしらのアクションは起こせるものの、私専用のパソコンはない。ましてや電話もない。会社に来て何も出来ないことがこんなに苦しいことだったことを私はその時初めて知った。

 

1時間ほどすると、私の席に人があらわれた。私はもしやと思い「席をお借りしてしまい申し訳ありません」と言葉をかけた。すると「ああいいですよ、10時まではそこに座っていてください」と言う。やはり10時までがリミットらしい。

 

10時近くになり、私はその席を離れた。私の席がまたなくなってしまった・・・私は一体この先どのようにして会社内で仕事をすればいいのだろう・・・ふとそんなことを考えた。

 

このまま立ったままでも仕方がないので、とりあえずはと、会議室から椅子を持ってくることにした。私はその椅子を直属の上司であるブラック企業に飼いならされた社畜社員である諏訪の隣につけた。諏訪は以前自分の仕事にのめり込んでいた。

 

まるで私は社内遊牧民かのようだった。

 

会社内でありながら定住できず移動を繰り返す社員、社内遊牧民。実態を知らない人からすれば、名前こそはそれなりに格好がいいかも知れないがそれはただ、自分のデスクを持てず、社内をただ放浪することしかできない社員のことを言う。仕事ができる、できないに関わらず、自分の決まった席を持てないため、いろんな場所へ移動し続ける社員。

 

実は、私はこの後、営業部にも関わらず、ひとりだけ他部署の席に移動したり、とんでもない仕打ちをくらうことになる。

 

どこからか「いってきます」の声が聞こえた。どうやらKはこれから引き継ぎに向かうらしい。その時の私は、少しだけKのことを羨ましく思った。ただ、それは大きな間違いであったことをすぐに知ることとなる。

 

Kの引き継ぎがこれだけ早かったのには会社の事情があった。それはKが引き継ぐことになるクライアントを持っている社員が当月付けで異動になるという事情からだった。なんと引き継ぎが始まった時点で異動になるまでもう半月をきっている。営業日ベースで考えたらほとんど時間がない。

 

引き継ぐクライアントの数は200件近く・・・一日20件ペースで引き継がなくてはならない。Kの、そんな無茶苦茶な引き継ぎが今日から始まった。

 

そして、私はというとこれからしばらく、社内遊牧民として生きることとなる。

 

 

つづきはこちらから【ブラック企業体験談】入社4日目、ブラック企業では警察さえ欺いていた。

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